面積の雑談

われらがwiki大先生にきくと『面積(めんせき)とは、平面内の、あるいは曲面内の図形の大きさ、広さ、の量である。』ですって. あーよかったじゃあ今日の話はこれで終わり!

と, いうわけにはいかないわけですが, 実際面積(及び体積)って結局のところ数学的にバシっと決めることができるんでしょうかね? まぁ出来なきゃ困るんですけど, どうやって面積って定義するんでしょうかね? 今日はそんな雑談です.

そもそも私達が面積の求め方を一番わかってる図形といえば, まあ人それぞれあるかもしれませんが大体は長方形とかなんじゃないですかね? 縦×横, たったそれだけ. まぁなんで縦×横かってのはようは一辺が1の正方形の面積を1と決めてそれが何個敷き詰められるかで面積を決めてるわけだからなんですが.

それでですね, 昔の人はこの長方形の面積を利用して例えば平行四辺形は平行移動したら長方形になるから底辺×高さだとか, 三角形は二つくっつけたら平行四辺形だから底辺×高さ÷2だとか, 正多角形は三角形敷き詰めただけだから面積求められるとかやってたわけですね.

ただまぁ, それもやっぱり限界があるわけで, 今までのような方法で面積が求められない図形が出てきてしまうわけです. それが円ってやつなんですが, 皆さんはどうやって求めるか知ってますよね. \(\pi r^2\)もちろん\(\pi\)は円周率で\(r\)は円の半径です. これもまぁ昔の人たちの努力の結晶なわけで, 私達がこの公式を気軽に使えるのも先人たちのおかげってわけですね. ユークリッドの原論には取り尽くし法という方法でここまではたどり着いてはいませんが, 直径の2乗に円の面積は比例するという部分までたどり着いています. 取り尽くし法とはなんぞや?という感じですが、これが敷き詰めるという発想の応用で 要は面積の求められる図形がどのくらい入るんだろう?という近似の発想に至ります. この近似って意外と大事で, 面積や体積の話もそうですが, 解析学という学問の基本的な考え方のひとつにもなってます.

ようするに, 正確に面積測る方法がないなら面積が測れるやつをいっぱい並べればいいじゃんってことですね. 後にこの方法でアルキメデスがよく知られる円の面積の公式を出しました. アルキメデスぱねぇ、まじエウレーカって感じっすね.

さてここまでは面積および体積をどうやって求めるかなんて話だったわけですが, いよいよそのあたりが煮詰まってくると今度は数学はこんな疑問に到達します.

『結局どんな図形だったら面積って測れるの?』

ここにひとつアイデアを与えたのは積分です. 正確にはリーマン積分ですね. リーマン積分は簡単に言えば関数が作るグラフによって出来る図形を縦切りの長方形に分割してその極限を面積としようというものです. ただし当然長方形の分割の仕方は一般には山ほどあるのでその値が分割の仕方で変わっては困るわけで, その値が分割によらないときリーマン積分できるとしましょうという制約はつきます. このリーマン積分は今までのような平面図形および立体図形の体積はすべて求めることができ, さらにより複雑な図形の面積や体積を求めることを可能にしました. そこで図形\(D\)(より正確に言うなら\(\mathbb{R}^n\)の領域)に対して, \(I_D(x)=1\quad (x\in D), I_D(x)=0\quad (x\notin D)\)という関数が積分できるならその図形は可測, つまり面積が測れると定義しましょうとしたわけです. この意味の可測をジョルダン可測といって, その積分の値を面積, あるいは体積といいます.こうして一つのものさし的なものができたわけです.

当然のことではありますが, 例えば円だとかそういった我々が昔から知っているような図形はこの意味で可測でその面積や体積は従来のものと一致します.

じゃあいいではないかと思ってしまいますが, リーマン積分を利用していくうちにその不便さが問題となってきます(とは言っても値は求めやすい方ですから今でも使われていますが).

その原因はなにか?というと定義域の区間を分割したことです. もっとわかりやすく言うと測る図形を縦に切ったことがその原因でした. そこでルベーグは縦切りじゃなくて横切りだったらいいんじゃね?という発想に行き着きます.

ですが, 横切りにしたらしたでそれも一つ大きな問題があります. それは結局横切りした図形を一旦定義域のほうに戻してその戻した図形の面積を測らなければいけないのですが, それが長方形とは限らないんですね.

つまり, 引き戻してきた図形が可測じゃなきゃ困るわけですが, 従来の可測の概念では足りなかったわけです.

そこで, ルベーグは面積のもつ性質を抽出してもう一度ものさしを作り直すことをしました. そうしてできたのが測度ってやつです. 特にルベーグのつくった測度をルベーグ測度といって, この測度からつくった積分ルベーグ積分というわけです.

とまぁ僕が知ってることはこれくらいですが, 面積の定義をバシっときめるって話はどこに行ったんでしょうね. とりあえず話したいことは話したので今回はこれで終わりにします.