写像とかいう超基本的な数学の概念

 今更ながらはてなブログなるものを初めて見ました.なんか適当な数学の話が出来たらいいなぁって感じです.よろしくお願いします.そうだブログを書こうと思ったはいいものの,何の話をするかは決めてなかったのですがなんか写像の話がしたくなったので写像の話を気が済むまでしようと思います.

 そもそもこれを読んでいるのがどれくらい数学を知っている人なのかはわかりませんが、写像ってなんだって言われたら大抵次のような感じになります.

Def\(A,\ B\)を集合とする.\(A\)と\(B\)の対応\(f\)が\(A\)から\(B\)への写像(map)であるとは,任意の\(A\)の元\(a\)に対して,\(B\)の元\(b\)がただ一つ決まるような対応のことをいい,このとき\(b\)を\(f(a)\)とかき,\(f\colon A\to B\)で表す.

 

 とまぁなんか堅苦しい感じで書きましたが上の定義実は一個だけごまかしてるところがあって、対応という言葉、これかなりごまかして書いてます.でも気持ちはわかると思うので許してください.本来は\(A\)と\(B\)の直積集合の部分集合を対応と言って、それが一意だ定義域がなんだとかいう条件を満たすと写像になります.(気になった人は今すぐ集合論の本を引っ張り出すか数理図書館へレッツゴー!)

--余談--

 集合という言葉を上で使っているけども、素朴集合論の立場で集合の定義を書いてる本ではよく"一つ一つがきちんと区別できるモノの集まり"的な定義をされてることが多いです.ですが、これはかなり要約されてて集合論を作った超えらい人Cantorさんの定義はめちゃくちゃ長いです.僕は長すぎて忘れました.数理の人なら数理図書館のCantorの論文集をチェックだァ!

--End of 余談--

 さて,何で今更写像の話をするかというと、写像をギリギリ集合とかの話を理解している人にどう説明するのが一番いいんだろうかとふと思ったからです.(写像って案外説明するの難しい、難しくない?)

 しばらく考えてみたのですが、僕だったら出席名簿が一つの例になるんじゃないかなぁって思います.出席名簿っていうのは小中高と毎朝先生が名前呼びながら出席とか欠席とか書くあれです.まぁわざわざそんな身近なものを無理やり結びつける必要もないですが少し数学的な見方をしてみましょう.

 とりあえず最初に集合がないと始まらないので集合を決めましょう.まず,クラスメイトの集合を\(C\)とおきましょう.もちろんドッペルゲンガーとかそういうのがいなければクラスメイト一人一人は区別できますよね.そうすると出席番号\(1\)番は阿部さんとか,出席番号\(15\)番は田口くんとか決まりますよね.でも出席番号\(4\)番は井上二人いるから二人とも\(4\)番とかはないですよね.それぞれ一つの数字に一人の名前を対応させないと不便ですから.だから普通の学校だったらきちんと写像になってるはずです.つまり,出席名簿は番号の集合\(\{1,2,\cdots\}\)から\(C\)の写像になっています.

 なんか自分で書いてみて思ったんですが、この説明わかりづらい気がしますね.いやでもこの例にはもう一ついいことがあって,普通の出席名簿なら全単射になっているんですよ.それを伝えるためにもう一つ定義します.

Def\(A,\ B\)を集合とし,\(f\colon A\to B\)とする.このとき,\(f\)が\(a\neq a'\Rightarrow f(a)\neq f(a')\)満たすとき\(f\)を単射(injective)という.また,\(f\)が任意の\(b\in B\)に対して,\(f(a)=b\)なる\(a\in A\)が存在するとき,\(f\)は全射(surjective)という.特に,\(f\)が全射かつ単射ならば\(f\)は全単射(bijective)であるという.

 

 さて,上の全射とか単射とかなんだか難しそうですが,上で話したようにさっきの例は全単射になっています.それを確認するためにもう少し仮定をおいて,クラスメイトは\(40\)名いるとしましょう.また,当然\(40\)人なのですから,番号は\(40\)で最後です.なので出席名簿\(S\)は\(\{1,2,\cdots,\ 39,\ 40\}\)から\(C\)への写像ということになります.

 また出席名簿は利便性を考慮して違う番号を同じ人に当てるということはしてなかったと思います.少なくとも私の学校ではそうでした.つまり,先生が今日は\(2\)月\(15\)日だから出席番号\(2\)と\(15\)の人といえば違う二人が返事をするわけです.これはつまり単射であることがわかります.そしてクラスメイト一人一人には出席番号\(1\)から\(40\)のどれかの番号が対応しています.でないと出席確認できないですからね.つまりこれは全射ということになります.かくして全単射になるわけですね.

 といった感じで意外と考えてみると写像なんだなぁっていう感じです.こんなふうに写像って結構いろんなところにあるわけですね.それこそ足し算とか掛け算なんかも写像なわけですし.そんな数学にとって当たり前のような概念の写像ですが,こういう写像とかのベーシックな概念は大学数学に慣れるのにとても大事なことなので、暇なときに自分の言葉で整理してみたり,僕みたいにくだらない例でもいいので考えてみたりすると数学のより良い理解につながるかもしれません.

 そんなわけで,最後はなんか説教臭くなりましたが,もう今日は飽きたのでこれで終わります.ありがとうございました.